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なぜ「むし歯」というの?【ドクターコラム】
- 2022/6/2
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福岡の小児歯科医院「医療法人 元気が湧く 子どもの歯科」の近藤嘉人先生による連載コラム「こんどーせんせいの こどもはスゴイ!」。とっても興味深い「むし歯」の由来のお話です。
むし歯はバイキン?
ある日の出来事。2才の男の子が、むし歯予防のフッ素をします。マウスピースをあてがって時間がたつのを待つあいだ、男の子の手をにぎって「これでむしばいきんに負けないようになるからね」とママが応援しています。
私は、2才でもむし歯の原因はバイキンというイメージをもう持っているんだな、と妙に感慨深く思いました。
むし歯はいつの時代から?
そもそも、ヒトはいつからむし歯に悩んでいいるのでしょうか?なんと、約30万年前の人骨に、すでに広範囲のむし歯ができていました。
縄文人もむし歯が多かったそうで、肉だけでなくクリやイモなど、糖質を含む豊かな食生活を送っていたからだろうと考えられています。エジプトのミイラからは、むし歯だけでなく動脈硬化症など「現代病」といわれる病気も見つかっています。
「むし歯」という言葉の由来
紀元前3千年頃の粘土版に「ワーム(足のない虫)は、歯と歯ぐきにひそみ、歯と血を食べ物にする」と刻まれています。ヨーロッパでは、むし歯の原因は、歯虫(はむし)だと信じられてきました。古代中国や日本でも「歯を疾(や)める虫」という考え方がありました。
いずれも、むし歯の穴から取り出した歯の神経を、原因の虫だと考えたと思われます。
古代のむし歯治療法
歯虫がいるので、むし歯の治療も虫対策を考えたものになりました。
古代では、ワームの正体を知っている神官が神に祈り、鎮痛作用や麻酔作用がある植物の種を処方していました。ヨーロッパでは、殺虫剤さながらに口の中を燻製する方法が17〜18世紀まで行われていました。
一方、歯をきれいに掃除して歯虫を取り除いておくという考え方から、楊枝を使う習慣が、ヨーロッパの神官やインドの僧侶から広がっていきました。お釈迦さまも、歯を磨くよう弟子に説いています。
現代の歯科治療は”育児支援”へ
酸の分泌がむし歯の発生に関わっており、酸の発生は歯垢にいる細菌が原因だと解明された現代は、治療法も予防対策も確立してきました。小児歯科では、治療や予防はもちろんですが、確かな情報をお伝えして、ご家庭が健康な生活を送れるよう「育児支援」のお手伝いをしたいと常々考えています。
そうそう、男の子はフッ素治療が終わり、「あーっ」とちょっぴりおじぎをしたあと、汽車のおもちゃにダッシュしていきました。
こちらこそ、ありがとう!
お話を聞いたのは
医療法人 元気が湧く こどもの歯科
近藤嘉人先生
福岡市南区大橋3-1-1 大橋プラザ2F